1~2月、動物病院は混雑することは少なく、穏やかに過ぎることが多いです。

(・・・といいつつ、先日の日曜日はとても混雑し、来られた患者様にはお待ちいただく時間が永くなってしまい、申し訳ありませんでした。)

そんな冬のこの時期は、獣医さん向けのセミナーが多く開催されており、僕もいくつか参加してきました☆

さて、ここでもお勉強の話題を1つ。

ちょっと堅い話になってしまうので興味のない方は読み飛ばしてもらえたらと思いますが大切なことなので、できればご一読頂ければ幸いです。

本日の課題は乳腺腫瘍と避妊手術について。

近年、動物の飼育環境の向上や獣医療の高度化に伴い、ペットも高齢化が進んでおり、その中でよく遭遇するようになったのが腫瘍性疾患です。

中でも、雌犬で一般的にみられるのが乳腺腫瘍であり、雌犬の全腫瘍中52%を占め、ざっくりとですが、良性悪性の比率は50:50と言われています。

そして、これが飼い主さんの頭の悩ませどころになるかと思いますが、乳腺腫瘍の発生はホルモン依存性であるということ。

避妊手術を受けている子に比べ、未避妊の子の乳腺腫瘍の発生率は7倍にもなると示されており、また避妊手術の時期も重要な素因で、初回発情前の手術であれば0.05%初回発情後で8%、2回目発情後で26%の発生率とされており、早い時期での避妊手術の重要性も指摘されています。

将来的な病気の予防(乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、卵巣嚢腫etc.)の観点からは、避妊手術を早期に受けることのメリットはとても大きなものとなります。

健康な子にメスを入れることに抵抗感があることも否めないですが、病気になったときの苦しみを考えると…。

避妊手術のメリット・デメリットの話はもちろん病気についてだけではないので、仔犬さんを飼われていて、どうしてあげるのが良いか迷っている場合は、一度ご相談いただくと良いと思います。

また、避妊手術を受けられていないシニアのワンちゃんを飼われている場合は、お腹の皮膚を触って見て下さい。ワンちゃんの乳腺は脇から股の辺りまで広く存在します。

上から下まで触れてみて、硬いしこりが触れないか、定期的にチェックしてあげてくださいね。

文責:酒巻

ES動物病院